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グルメグルメ

2016.03.21

一文字屋和輔は創業千年以上!
賞味期限その日限りのあぶり餅

writer : けいたろう

一文字屋和輔(いちもんじやわすけ)
京都市北区紫野に鎮座する今宮神社の境内。神社参拝で参道を行きかう人に、炭火で餅をあぶりながら「おこしやすぅ~」と声を掛けるお店の、一文字屋和輔(いちもんじやわすけ)は、一和(いちわ)とも呼ばれるお店で、今宮神社の門前名物となっています。いかにも風情があり、京都らしさを実感できるお店は、京都を旅行しているという気分を最高に盛り上げてくれます。

1000年の歴史のある一文字屋和輔(一和)

参道を歩いて、参拝へ向かう人には「おこしやすぅ~」、参拝を終えて戻ってくる人には、「お帰りやすぅ~」という何とも上品にお客を呼び込む声と、餅の焼ける香ばしい香りで、思わず足が止まってしまう一和。
一和外観
今宮神社の門前名物であり、一見して老舗だと分かる店構えの一和の創業は長保2年。耳馴染みのない年号は、何と西暦1000年。平安時代に京都に蔓延した疫病や災厄を鎮めるために、一条天皇の手によって、紫野の地に今宮神社が建立されたのと、ほぼ時を同じくして創業。平安時代から現存し、1000年間以上の営業年数を誇る企業というのは、日本でも数えるほどしかありません。

一和で提供される商品は、あぶり餅ただ一つ。
あぶり餅
千年前からそうであったかのように、あぶり餅を売る様子は、まるで時代劇。祇園や先斗町などの賑やかな街並みとは違った、落ち着きのある京都らしい雰囲気を存分に感じられ、京都旅行の思い出作りに最適です。

あぶり餅とご対面

お店には参道に面した縁側風席と座敷席があります。夏や冬は座敷席で、気候のよい春や秋には縁側席がオススメ。

一和で提供されるのは、あぶり餅のみ。メニューは、あってないが如く。机の上のメニューらしき紙には、お召し上がり一人前、十三本入り五百円と書かれています。
メニュー
お店の人に何人前かだけを伝えて、しばらくするとあぶり餅が運ばれて
きます。
あぶり餅とお茶
キリの良さそうな10本ではなく、13本なのは2で割り切れない数、奇数が日本では縁起が良いとされているから。餅の本数一つとっても、日本らしさが息づいています。

親指大に千切られ、串に刺さってあぶられた餅が、お皿の上で扇を広げる姿は、繊細。食べるのが少しもったいないくらいに美しい一皿ですが、1本つまみ上げて食べると、上品な味噌の甘みと同時に、焼いたお餅の香ばしさが口の中に広がります。
あぶり餅のアップ
その香ばしさは、お正月のお餅を焼いて食べるあの香ばしさ。ノスタルジックな気分を呼び起こします。

一文字屋和輔の歴史の守り神

一和は、長保2年の創業以来、1000年以上も営業を続けてきました。その長い歴史の中には、千利休が茶菓子として使用したという話や、応仁の乱の際に、飢餓で苦しむ人々に振る舞ったという教科書レベルのエピソードの数々が受け継がれています。

店内には、歴史的遺産と呼べるようなものも多数あり、中庭にある手水鉢は室町時代。
店内に湧く井戸
店内に湧く井戸は、お店よりも古いという代物。
井戸の中
軒先には京都の古い家屋らしく魔除けの鍾馗様が祀られていますが、一和では3体の鍾馗様が並んでいます。
軒先
創業以来お店は火災に数回見舞われましたが、その度に鍾馗様は燃え残り、残った鍾馗様に新たに鍾馗様を追加、いわば鍾馗様の継ぎ足をして祀ったため、京都でも珍しい3体の鍾馗様がならんで一和の歴史を守っています。

一文字屋和輔廿五代目

1000年以上の歴史を持つ、一和を現在切り盛りしているのは、長谷川奈生
さん。
長谷川奈生さん
廿五(25)代目となるお店の当主で「おこしやすぅ~」の声の主です。25代目という世代の数は、京都でもなかなか、お目にかかれるものではありませんが、1000年以上続くお店では、25代目でも少ないとのこと。
お店ののれん
お店の歴史を調べに調べた際に、お店の代表の名前が判明ない時代の世代数に関しては数えていないとのこと。「代目の数を増やすこともできるけど、そんなことに意味はないから」と笑っておりました。

長谷川さんの真面目で豪快でお茶目な様子は、お店の基本方針となって
います。お店では、お持ち帰り用のあぶり餅もありますが、こちらの賞味期限はその日限り。
お持ち帰り用のあぶり餅
保存料や混ぜ物を入れれば、賞味期限を引き延ばしたり、地方発送も可能でしょうが、そんなことは眼中にない様子で、「保存料なんか使いたいと思ったことない」と心強いコメントをいただきました。

ただの1000年ではない一文字屋和輔

長い歴史のある一和ですが、本当にすごいのは、多くの物が未だに現役であるということ。店内の井戸は、今もなお水が湧き、食器洗いや洗濯に使用されています。京都には同じくらい歴史のある井戸は存在しますが、使用されることなく、大事に保管されるあまり、とっくに枯れてしまっています。

一和では、朝、店を開け、炭の火をおこし、餅を搗き、神様に捧げ、お下がりをいただいて、それをお客様に提供するスタイルで1000年以上というより、1日1日、餅をあぶり続け、歴史を繋いできました。
朝の店先
近所に住む人が犬の散歩にお店の前を通った際には、女将さんと日常的な会話をし、営業終了間際には、氏子総代でもある炭の仕入れ業者の方と、今宮神社で行われるお祭りの打ち合わせを兼ねた世間話が展開され、地域の人、今宮神社と濃密に絡み合って1000年以上もお店を守り続けたということが分かりました。
店の入り口

スマートポイント

  • 一文字屋和輔の、あぶり餅は、ご神饌として神様に一旦奉納された物をお下がりとしていただくお餅で、今宮神社のご利益と併せて、無病息災を得られる縁起物として有名になりました。
  • 代表の長谷川さんは「井戸があった、今宮神社があった。だから1000年続けられた。他の場所での商売は考えられない」とアレがあった、コレがあったと語る様子は、本当に嬉しそうです。
  • お持ち帰りは、三人前(1,500円)より購入可能。紅白の紐に結ばれる、餅はいかにも縁起物。保存料不使用で、消費期限はその日限り。固くなったらレンジでチンして食べてくださいとのこと。

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一皿13本という本数に「食べきれるかな?」と言っていたのに、食べ終わると「1.5人前でも食べられた」と感想を言っている人もチラホラ。実際、二人で三人前などの注文をしているお客様もいました。

けいたろう

大阪在住のフードアナリスト。足を使って関西中の美味しい食べ物情報を探し出し配信します。お楽しみに!

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