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観光観光

2017.10.03

京都・引接寺「千本ゑんま堂」
ご本尊の大きな閻魔像を拝む

writer : 塚本隆司

光明山歓喜院引接寺こと「千本ゑんま堂」
古都京都に来れば、あの世とこの世の境界を目にすることがある。京都市上京区閻魔前町の光明山歓喜院引接寺こと「千本ゑんま堂」もそのひとつ。ゑんま堂の名の通り、この世とあの世の間におられる閻魔法王をご本尊としている珍しい寺だ。本殿には見る者を圧倒する大きな閻魔像が鎮座する裁きの間が再現されている。
裁きの間
ゑんま様と聞くと「地獄の王」「嘘をつけば舌を抜かれる」と思っている人も多いが、実のところはそうではない。この世とあの世の間、地獄と極楽の間にいる裁判官で、人間界を見守ってくれているのだとか。
京都の歴史や風習を今に伝える「千本ゑんま堂」。見て楽しむ観光スポットとは少し違う、歴史にふれて心静かに手を合わせお参りしたいスポットを紹介しよう。
京都の歴史や風習を今に伝える「千本ゑんま堂」

「千本ゑんま堂」は、あの世とこの世が交わるところ

京都が都となって50年ほど経過した西暦850年ごろ。朱雀大路(現・千本通り)の北側は、生者と死者の境となる平安京3大墓地のひとつ「蓮台野(れんだいの)」と呼ばれていた。当時の平民には墓はなく、風葬(野ざらし)が一般的で現代では想像し難い光景が広がっていた。

この状態を憂いたのが百人一首にも登場する小野篁(おののたかむら)。あの世とこの世を行き来し、昼はこの世で朝廷に、夜はあの世に渡り閻魔法王に仕えていたといわれる人物だ。
平安京3大墓地のひとつ「蓮台野」
篁は死者を埋葬するように改めた。神の住む都京都では、仏教儀式を行えなかったため、研究を重ね神道と仏道の間の思想「十王思想」に目をつける。人間界の裁きを司る閻魔像を作り、供養する儀式を始めた。この世とあの世で魂の入れ替えを行う儀式は、「精霊流し」などお盆の風習として今に残っている。

ご本尊の閻魔像は、日本最大級

ゑんま様の役目は、この世とあの世で死を迎えた人間の行き先を裁判で決めること。嘘偽りを述べれば、舌を抜かれると子ども心に植え付けられたものだ。
今にも大声で怒鳴りそうな閻魔像

(写真提供:引接寺)

社務所に申し込めば、本殿内で説明が聞ける。千本ゑんま堂の本殿は、裁判の場を再現しているという。王の証の冠を付け、目を大きく見開き、今にも大声で怒鳴りそうな閻魔像。怖い姿は、地獄の恐ろしさを諭すため。地獄の苦しみを自らも感じている表情ともいわれている。
日本最大級の像

(写真提供:引接寺)

像の大きさは日本最大級でおよそ2メートル。高いところから見おろされると身が引き締まる。両脇に司令尊(右)と司録尊(左)。司令尊は、生前の行いをゑんま様に伝える係り。司録尊は、裁判の結果を記録する。脇には小野篁像も控えている。
小野篁が作った閻魔像は応仁の乱(1467-1477)で焼失し、現在の閻魔像は長享2 (1488) 年に再現安置された。

引接寺「千本ゑんま堂」を彩る風物詩

夏はお盆で、地獄の釜のふたが開いてゑんま様も大忙し。「お精霊迎え(おしょらいさん)」だ。あの世で苦行をしいられている故人もゑんま様の許しを得て、この世に里帰りをする。懐かしい我が家でキレイな気持ちで過ごして功徳を積み、またひとついい世界へと帰って頂く(お精霊送り)お盆行事だ。
本殿脇の地蔵供養池
お精霊迎えでは、本殿脇の地蔵供養池に水塔婆を流し迎え鐘をついてお迎えするのが習わし。
地蔵供養池に水塔婆を流すお精霊迎え
お地蔵様は、小野篁が土葬をしても魂は浮き上がってくるため石を置いたのが始まりで、やがて形を変えお地蔵様になった。仏教界では、お地蔵様は閻魔法王の化身といわれる。

ゑんま堂普賢象桜

(写真提供:引接寺千本ゑんま堂)

4月中旬から下旬は、遅咲きの桜「ゑんま堂普賢象桜」が見頃を迎える。花冠のまま散る姿が印象的な桜だ。
5月の初めには、京都の三大念仏狂言のひとつ「ゑんま堂狂言」が開かれる。演目にセリフがある念仏狂言は珍しい。

千本ゑんま堂の見どころとお土産

紫式部の供養塔
引接寺境内には、紫式部の供養塔が建つ。なぜ、ここに?と思われるだろう。小野篁とは生きた時代が異なるが、紫式部が京都の成り立ちを学ぶうちに小野篁に傾倒し、その足跡を巡ったことに由来する。
地獄に落ちた紫式部を小野篁がゑんま様にとりなして助けたため、ふたりの墓が並んで建てられたともいわれている。
境内の童観音は、子どもたちの災難を除け、息災を守護している。優しい雰囲気が特徴的だ。
境内の童観音
社務所には珍しいおみくじの数々。
おみくじ
閻魔様のおみくじ
こぼんさんおみくじ
ゑんま様にお供えした餅をかき餅にした「ゑんま様のお目こぼし」と合わせて、参拝の記念にしたい。
ゑんま様のお目こぼし

スマートポイント

  • 京都の歴史を感じる旅ならオススメ。後世に伝えていきたい場所です。ご本尊の閻魔像は撮影NG。写真撮影を目当てに訪れる観光スポットではありません。
  • 訪れて説明を聞けば、ゑんま様のイメージがガラリと変わるはず。あの世に行くには必ず会わなければならないので、ごあいさつがてらに参拝を。死後には会って裁いてもらわないと迷うことになるので。
  • ゑんま様の姿を見て、怖いと感じる人もいれば、優しいと感じる人もいるとか。あなたはどちらでしょうか? 全ては日頃の行い次第のようです。

ライターのおすすめ

広くはない境内に紹介しきれない歴史が詰まっています。観光というよりは、歴史探訪のスポット。京都旅に慣れてきたならぜひ参拝ください。

塚本隆司

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