沖縄ではユニークな伝統的農産物が「島やさい」として親しまれ、沖縄料理に欠かせない存在である。
画像向かって右から、ンジャナバー(ニガナ)、フーチバー(琉球ヨモギ)、観光客にも人気の島らっきょうや、イーチョーバー(フェンネル)といった「春」の島やさいの四方山話を、ウチナーアンマー(沖縄のお母さん)の優しさたっぷりなJAおきなわ食育担当・新垣洋子さんに教わってきた。
ンジャナバーを手に、JA直営の「ちゃんぷる〜市場」で微笑む新垣さん。沖縄市にあるこの産地直売店では、地元の農家さんが納品した農産物を買うことができるだけでなく、七月のマンゴーフェアーなど、一年を通して楽しいイベントが多いので、季節ごとに訪れてもおもしろい。また食育活動も盛んで、調理~試食のイベントも多く行われているそうだ。
今回は旅行中でも簡単に、沖縄の味を料理して楽しんだり、島やさいを加工してお土産を自作する楽しみ方をご提案しよう!
島らっきょうの塩漬けなどは空港のお土産品店で売られるほど人気があるが、自分で作れば思い出も増えるし、後日電話注文で生の島やさいを取り寄せ、ご自宅で沖縄気分を味わうこともできる。
春の島やさいには独特の香りがあるなど、薬草的なものが多かった。
まずはイーチョーバー(フェンネル)の黒糖漬けだ。
泡盛に漬ける場合もある。昔から咳止めとして重宝されていた家庭の常備薬のようなものだそうだ。
鎮静鎮痛に効果があるらしく、JAの新垣さんは頭痛がする時、庭に生えているイーチョーバーをもぎ取り、香りを嗅ぐと痛みが和らぐという。こちらは新垣さんお手製のもの。コップに大さじ1杯取って、水かお湯で割って飲む。
1kgの黒糖と1カップの水を混ぜ、半量になるまで弱火でコトコト煮、火を止め冷ます。洗って水気をきれいに取ったイーチョーバーの主に茎を(葉は天ぷらなどでおいしい)カットし、黒糖と合わせ密閉。
1日置いたら冷蔵庫で1カ月置き、イーチョーバーを取り出したら冷蔵で長持ちさせることができる。さてお待ちかねの島らっきょう塩漬けだ。
お土産品店で買うと結構なお値段がするものが簡単に自作できる。
まず、株の島らっきょうを泥のついたまま、ざっと小分けにする。
そして葉の茶色くなって固い部分と、ヒゲ根をキッチンバサミで切り除く。塩大さじ1を振ってなじませ30分置く。
これを手でこするようにすると、表面の薄皮がツルンとむけるので、泥を洗い流して水気を取る。ジッパー袋に、島らっきょう1束約200gに対し小さじ2の塩を加え良く絡める。
これを冷蔵庫にひと晩置いて、水洗いしたらいただける。
塩漬けは冷蔵保存をすれば1年でももつそうだ。
最初の塩をして薄皮をむかれる前のらっきょうと塩、イーチョーバーには島ザラメを使ってみた。
次はニガナの白和え(ンジャナバーエーイ)だが、これまでのレシピで大活躍しているのが、ジッパー付き袋・ビニール袋・キッチンバサミだ。どれも100円均一で手に入る。旅行先でも手に入りやすいし、島らっきょう塩漬けを持ち帰る時にも活躍するスグレモノだ。
白和えの調理はビニール袋が大活躍。袋に水を切った島豆腐を入れ、荒くほぐす。
ンジャナバーはキッチンバサミで千切りにする。豆腐とンジャナバーを合わせ、油を半分捨てたツナ缶を加えて、お好みで塩か醤油で味をととのえれば完成!ホテルの部屋でも作れる気軽さだが、苦味を豆腐が包み込むベストマッチの味に箸が止まらない。
最後にフーチバーボロボロジューシー(よもぎ雑炊)だ。
コンロさえあれば旅先でもなんとか作ることができる簡単レシピをご紹介しよう。
沸騰したお湯に豚肉切り落としを入れ、火が通ったら冷ご飯、鰹だし、茎から外したフーチバーの葉を投入、お好みで塩・醤油、または味噌で味をととのえ器に盛る。生卵やバターをトッピングするとまたおいしい。
フーチバーは「下ぎ薬(さぎぐすい)」と呼ばれ、高血圧予防に良いとされた。
ビタミンC・カリウムが豊富なンジャナバーは「腹薬(わたぐすい)」、イーチョーバーにはアロマ効果もありそうだ。
おいしくて体に良い沖縄の島やさいと島に根付く食文化を楽しみ尽くしていただきたい。
※こちらは、2015年12月5日公開の記事となります。更新日はページ上部にてご確認いただけます。
※記事中の写真、価格は取材当時のものとなります。