北海道有珠郡壮瞥(そうべつ)町の支笏洞爺国立公園内にある「昭和新山」は有珠山(うすざん)の火山活動でできた側火山で、国の特別天然記念物に指定されています。もともとは平たんな麦畑だった土地で突如隆起がはじまり、1943年~1945年のたった2年間で爆発的に成長し、現在では標高398mにもなる立派な火山に。入山は不可ですが、ふもとからは雄々しい斜面を、ロープウェイからは現在も煙をあげる山の全景を鑑賞できます。自然の驚異や迫力、奇跡的とも言える歴史のロマンを求めて、国内外を問わず多くの観光客が集まります。
昭和新山には所有者がいる!
洞爺湖の南にある昭和新山は、世界でも珍しい「私有地内にある火山」です。火山研究家の三松正夫は、山の生まれた土地を買い取り、詳細な成長記録「ミマツダイヤグラム」を作成しました。さらに、彼は火山の保護とともに、火山活動や山の誕生で家や農場を失った住民の生活を、土地を買い取ることで支援しました。そうした経緯から、現在でも昭和新山は三松家の所有物となっています。山麓には観測器具を構えた三松正夫の像が立っていて、調査にかけた熱意が伝わります。
ロープウェイから見る、地球の息吹!
昭和新山山麓にある「昭和新山駅」から約15分間隔で運行している「有珠山ロープウェイ」は、雄大な洞爺湖と、現在も至るところから煙を上げる昭和新山を見下ろすことができる絶景ポイント。有珠山の山肌には多種多様な植物が茂った緑地が広がっていて、頂上の展望台からは、昭和新山の「赤色」、洞爺湖の「青色」、植物の「緑色」が描く、美しいコントラストを堪能できます。
山麓で火山の歴史を学び、恵みを味わう
昭和新山への理解を深めるなら、昭和新山のふもとにある「三松正夫記念館」がオススメ。三松正夫がつづった調査記録など、貴重な資料が展示されています。グルメを楽しむなら「レストラン噴火亭」へ。地産地消をテーマに、火山の恵みを受けた豊かな大地で育った食材を豊富に取り入れたメニューがズラリ。なかでも、地元産のあか牛を使った「あか牛カレー」は絶品と評判です。
※こちらは、公開日が2016年10月13日の記事となります。更新日は、ページ上部にてご確認いただけます。