ベイエリアをまっすぐにのびる、観光名所の坂
数ある観光地として有名な函館市の坂のなかでも、ぜひ訪れたいのが八幡坂。日本経済新聞の「なんでもランキング」で、訪れたい坂日本一にも選ばれるほど、景色や雰囲気が抜群の観光地です。
赤レンガの倉庫が並ぶベイエリアから海に沿って西へ向かうと、目の前に一直線にのびているのが、八幡坂です。目線を上げると、その先には函館山が。
元町エリアへ続く八幡坂は、その名の通りかつては函館八幡宮に繋がっていました。1880(明治13)年、大火によってお宮は移設されましたが、坂の名称だけは残されています。
全長270mの道路には、石畳が敷き詰められてレトロでお洒落な雰囲気。両脇の歩道も石の階段になっていて、景色にアクセントを加えます。
街並みと海を堪能できる絶景に酔いしれよう
一番の見どころは、なんといっても坂の上からの風景。函館湾までまっすぐ、さえぎるもののない爽快な眺めが楽しめます。道幅中央に立つと、ちょうど目線の先には、青函連絡船として活躍した摩周丸が。海を挟んで向こうには、函館市の市街地が広がります。
晴れれば遠くの山々までくっきりと見え、すがすがしい気持ちに。坂は電車通りと交差しているので、趣ある市電の車両がのんびり横切れば、さらに旅情をかきたててくれること間違いなし。
印象的な八幡坂は、函館市の観光PRポスターやガイドブック、映画やドラマなどのロケ地としても使われています。
なかでも、食器用洗剤のCMのロケを行ったことはとくに有名。その影響で、八幡坂の知名度が一気に全国区になり、一時は「チャーミーグリーンの坂」と呼ばれていたことも。
函館市は坂が多いので、函館市民でも坂の名前は覚えきれない…今でも「八幡坂」という正式名称よりも、「チャーミーグリーン坂」の方がすぐにピンとくる方が多いくらいです。
爽やかな眺めは、記念撮影スポットとしてもぴったり。昼だけでなく、夜景もかなり魅力的です。
また、冬の夜は深々と降る雪とイルミネーションがとても幻想的。
昼夜、四季で表情を変えるので何度でも訪れたくなります。
周囲には観光スポット満載。寄り道しながら楽しめる
観光地が集中する元町エリアに繋がる道のため、周囲には見どころがいっぱい。坂の上から、ロープウェイ山麓駅のある西へ進めば、風見鶏の屋根飾りが印象的な元町カトリック教会はじめ、異国情緒あふれる教会群が。
逆に東に足を向けると、旧函館区公会堂や元町公園もあります。元町公園から続く坂は「基坂」。八幡坂から見下ろす景色とはまた異なった港町の風景は、見ごたえ十分です。
さらに坂の途中には、元町の雰囲気に溶け込むおしゃれなショップが点在。深入りにこだわった自家焙煎のコーヒーを味わわせてくれる元町珈琲店など、レトロで落ち着けるカフェもあるので、歩き疲れたときのひと休みに、立ち寄ってみては?
ただ景色を楽しむだけでなく、気持ちのおもむくままに寄り道しながら、のんびり散策するのもいいですね。
さらにひと足伸ばして、道内最古の神社へ
この坂の頂上にある函館西高校を左手に、さらに細い坂を上っていくと、大きな鳥居が見えてきます。さらに進むと石の階段の先に、木々に囲まれた趣きある船魂(ふなだま)神社の社殿が。ここは北海道最古の神社と呼ばれ、800年を超える歴史を持つ、隠れた名所です。
起源は、平安時代の1135(保延元)年。船の安全や大漁祈願などを願う神社として「ふなだまさん」の愛称で、地元の漁師などに長く親しまれてきました。
なんと、源義経が兄の頼朝から逃れ、ここに上陸したという伝説もあります。境内には、のどの渇き切った義経一行に、水の湧く場所を示した童子が立ったという童子岩も。
境内からは函館湾全体が見渡せる、晴れやかな風景。坂道を上った疲れもいっぺんで吹き飛びます。
雰囲気も景色も満点、見どころもいっぱいの八幡坂。ゆっくり休み休み歩きながら、坂の周辺や函館の街並みを楽しむには、ぴったりの名所ですよ。