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観光観光

2015.12.24

辺戸岬観光ガイド②
王様も眠る村、辺戸集落

writer : Misa Alta

多くの人が沖縄観光で訪れる辺戸岬ですが、その際、駐車場近辺に設置されている「辺戸蔡温松並木保全公園案内図」や「国頭村文化財案内マップ」を目にすることがあるのではないでしょうか。この案内図で紹介されている辺戸地区は、人口約80名(2013年時点)が暮らす小さな集落ですが、琉球の歴史の始まりから現在に至るまで、この島の重要な場所としての役割を果たしています。

荘厳な安須森御嶽(あすむいうたき)

荘厳な安須森御嶽
琉球王国初の正史「中山世鑑(ちゅうざんせいかん)」によると、沖縄本島はアマミキヨという名の女の創世神によって作られ、その時アマミキヨが作った琉球開闢(びゃく)七御嶽(「御嶽」うたき:琉球の信仰の聖域を指します)の内、最初に作ったのが、大石林山としても知られる安須森御嶽だということです。ちなみに、有名な南城市の斎場御嶽も七御嶽のひとつです。七御嶽は現在でも琉球の信仰において最も神聖な場所です。そして興味深いのは、辺戸岬と辺戸集落の間、ヤンバルクイナ展望台近くにある「星窪(ふしくぶ)」と呼ばれる場所です。案内図によると、「昔この地に大きないん石が落ちて、そのところだけが局部陥没し(中略)星田と呼ばれる水田がはじめられた地である」と説明されています。辺戸は神様も流れ星もやって来るすごい場所です!

300年間辺戸を見守り続けている蔡温松

辺戸岬にあった案内図の名前にもなっている「蔡温(さいおん)松並木」ですが、これは尚敬王(在位1713~1751年)の元で活躍した三司官の一人で、琉球王国の大政治家、蔡温(1682~1761年)の名前が付いた琉球松の並木道です。
琉球松
蔡温は、やんばる地域の山林と農地を公共工事で整備、アダンや松などを植えた、治山治水の祖と呼ばれる人物です。辺戸集落をぐるりと取り囲むようにして植えられた堂々とした風格の松が、今日も集落を見守っています。辺戸の蔡温松は、2005年に沖縄の名木にも認定されました。松並木に沿って散策路も整備されているので、気軽にハイキングが楽しめます。散策路の途中には住宅地や拝所、手作りの看板とオブジェもあります。手作りの看板とオブジェ
散策路南側にある展望台からは、目の前にそびえ立つ安須森、そして辺戸岬と与論島を望むことができます。

琉球王朝の年中行事「辺戸大川のお水取り」

散策路の途中、あさぎ広場の近くに「散策路」の案内標識とは別に、電柱に消えそうな字で「大川→100m」と書かれた案内があります。ここは、地元の人が大川(うっかー)と呼ぶ、神名アフリ川です。大川の水は聖水として琉球国王が儀式に使用していたそうで、年に2回、首里の役人が「お水取り」に辺戸までやって来ていたそうです。
「お水取り」が行われる辺戸
2000年には、なんと120年ぶりに琉球王朝の年中行事「辺戸大川のお水取り」が再現され、それ以降毎年恒例の行事として定着しています。2015年は12月19日にお水取りが行われました。当日は初めに、辺戸公民館で艶やかな琉球舞踊が披露され、参加者には地元の人が準備したゆし豆腐が振舞われました。その後、ノロを先頭に琉球王国時代の役人に扮した男の人達が続き、大川でお水取りが行われました。役人に扮した男の人達
辺戸の若水は四日間をかけて、駅伝ならぬ若水献上役伝(わかみずけんじょうえきでん)で首里まで運ばれ、12月27日に円覚寺へ奉納された後、首里城へ献上されます。

浦添城を追われ、辺戸へ逃れた義本王

「大川のお水取り」など、王族と関係の深い辺戸集落ですが、安須森の麓、現在の58号線のすぐわきに、琉球の最初の王といわれている舜天王の王統3代目、義本王(ぎほんおう、在位1249~1299年)の墓があります。
つひとつの石がとても綺麗なお墓
綺麗な墓で、一つひとつの石がとても正確に加工されているのに驚きます。義本王は即位してすぐに国が飢饉や疫病に見舞われたため、摂政であった英祖に王の位を譲り、辺戸へ逃れ、辺戸ノロとの間に子どもをもうけて辺戸で生涯を終えたといわれているそうですが、はっきりとしたことはわからないそうです。それでも、琉球の最も神聖な御嶽のある沖縄最果ての地へ、心の傷ついた義本王が癒しを求めてやって来ていたとしても、不思議はありません。国頭村教育委員会によると、2013年2月にこの墓の室内から人骨5~6柱の入った甕と玉などの装飾品が見つかったそうです。そして、現存の墓は明治初期に尚家が改修したものだということです。

おしゃべりの花も咲く辺戸共同売店

中心にある「辺戸共同売店」
集落のほぼ中心にあるのが「辺戸共同売店」です。店を切り盛りしているのは、80歳になる、辺戸出身の上原春子さんです。観光で集落を訪れる人が多いのかたずねると、そんなにいない、とのこと。それでも、必要なものはひと通りそろっていますよ、といいます。懐かしい黒電話のある店内の品ぞろえは充実しています。
黒電話のある店内
話をしていると、上原さんは20代のころ、宜野湾市大山で民間人として沖縄へ赴任していたアメリカ人夫婦の家で、住み込みでハウスメイドをしていたこともあったそうです。夫婦がよく夜踊りに出かけていたので、その間は上原さんが夫婦の4人の子ども達の世話をしていたそうです。そのころは楽しかったか聞いてみると、「楽しかったですよ。私たちは芋を食べていたような時代だったから、食事の後にケーキが出たりして」と笑います。苦労も多い人生だったいう上原さん
それでも、苦労も多い人生だったいう上原さんは、空気が新鮮で安須森に守られているシマ(生まれ育った村)で暮らし、家族も近くにいる「今が一番幸せ」といいます。 のどかな村
辺戸共同売店
住所:沖縄県国頭村辺戸36
☎0980-41-8440
営業時間:7時ごろ~19時ごろ(21時ごろまで開いていることも多々あり)
定休日:月曜日
駐車場: あり

スマートポイント

  • 無料の駐車場が58号線ぞい、義本王の墓の向かいにあります。ここに散策路の入り口もあります。
  • 散策路の一部はヤンバルクイナ展望台にも続いています。
  • 辺戸岬観光ガイド①に引き続き、国頭村ホームページに記載されている「やんばるマナー」です。
    1.車の運転には気を付けて!
    2.ゴミは家に持ち帰ろう!
    3.動植物に危害を加えない!
    4.トイレは適切な施設を利用する!
    5.ペットは森に連れ込まない!
    6.住民に迷惑をかけない!

ライターのおすすめ

集落を見守るようにそびえ立つ安須森の素晴らしい姿が間近に迫ります。

Misa Alta

沖縄には、ここにしかない興味深いモノや場所がたくさんあります。多くの人に沖縄の持ついろいろな顔を知ってもらえたらいいなと思います。

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