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グルメグルメ

2015.12.16

店長はバーテンダー!名護市の
やんばるダイニング松の古民家

writer : miya-nee(みやねえ)

名護市内にある夜だけ営業する古民家のダイニング。店名は「松の古民家」だが、敷地内には松の木が1本も見当たらない。なぜなら店名の由来は、広島出身のオーナー・松下豊さんが「まっちゃん」と呼ばれているから。
「松の古民家」外観
まっちゃんが営業する古民家、だから店の名前は「松の古民家」。松の木にはまったく関係なく、ただ単にオーナーのあだ名を覚えやすい仕組みとなっている。そんなオーナーの松下豊さんがこちら。

おもしろくて泥臭い個性派オーナー「松下豊」とは!?

個性派オーナー松下さん
満面の笑顔すぎて目が線になっているオーナーの松下さん。こう見えて着実に経歴を積み上げてきた努力家である。

東京でバーテンダーの修行を積み、沖縄に移住後は恩納村のリゾートホテルでレストランの開業準備室に入り、店の経営に不可欠なマネジメントやマーケティングの仕組みを学ぶ。時としてその過程は泥臭く挫折の繰り返しだったと話す松下さん。その泥臭い経験と実績が実を結んだのが2014年4月。名護市に「やんばるダイニング 松の古民家」をオープンしたのである。
風情ある古民家
「小学生のころはとても頭が悪くて。勉強が嫌いだったんですよね。笑」

そんな広島出身者のオーナーがなぜ沖縄で店を開業したのか。そのキッカケを伺うと、話は遡ること15年前・・・と話が長くなりそうなのでできるだけ完結に説明してみたい。

将来の目標を何も持たずに過ごしていた高校時代。このままではダメだ!そう漠然と思い始めたころ、ふと飲食店を経営する母の姿を思い出し「接客はどの仕事にも通じる基本。そうか、まずは一流の接客を学ぼう!」と高校卒業後、地元にあったホテルの専門学校に入学。その授業の一環であったホテルの実地研修にて、半年間ほど石垣島のリゾートホテルを経験する。

その時、石垣島全日空ホテルのロビーからは壮大な夕日が見え、今でも脳裏に浮かぶほど感動的な光景だったそうだ。その残像のイメージは「太陽にほえろ!」のどデカイ太陽らしい。「太陽にほえろ!」を知らない人はぜひネット検索してみてほしい。これを詳しく語るにはまったく文字数が足りないのである。

この夕日が原動力となり「いつか必ず沖縄で働くぞ」との決意を胸に夢を描き始め、感受性豊かな10代最後の年に見た離島の夕日は、人生の岐路を変えるほど感動的な光景だったのだろう。

がしかし、専門学校で受講したバーテンダーの授業が思いのほかおもしろく、卒業後はプロのバーテンダーを目指して東京に上京。一流のサービスを経験し、一流の人から知識を学べば広範囲で通用する実力が身につくのではないかと「ホテルグランパシフィックメリディアン」のスカイラウンジに勢い勇んで面接を受けに行き、熱い語り口で見事に就職を勝ち取ったのである。

そこでバーテンダーとして約5年半の修行を積むのだが、最初は包丁の研ぎ方からフルーツのカッティング技術はもちろん、ときには果物のオレンジを100個以上絞り続ける日々。シェイカーをシャカシャカするだけがバーテンダーの仕事ではなかったのである。

カクテル作りや飲食関連の勉強、ホテルマンとしての接客を身につけながら、ソムリエの資格を取得。そんな下積み経験の中で何度も心が折れそうになったが、ベテランの先輩達から教わる職人技は、苦しい道のりでありながら心と技術力を鍛えてくれた賜物だったと話す松下さん。

沖縄に移住後、将来的にお店を経営するならマネジメントやマーケティングの仕組みを習得する必要があると、恩納村のリゾートホテルでレストランの開業準備室に入る。その間、沖縄で開催したバーテンダーの大会「第16回アワモリカクテルコンペティション」に出場し、見事に沖縄県知事賞を受賞してしまった経歴の持ち主だった。
バーテンダーもこなす松下さん
なんだかすごいバイタリティ!と感じる松下さんだが、普段は穏やかな人当たりでユーモアと愛嬌を持ち合わせた人柄。笑うとやはり目が線になるようだ。

そして意外と説明が長くなってしまい、大変申し訳なく思っている。
ブラジル食堂前にて
名護市のブラジル食堂の記事でケツメイシのCDジャケット写真に変身したり、名護市の観光PRをする第4代目「がじゅまる王子」に選出されたりと、何かと地元に貢献的。ちなみに写真に写っている「みやねえ」とは筆者である私のことである。

出会いと運に恵まれ、その時々の機転と努力が実を結んだ結果、名護市に誕生した「松の古民家」。それではどんな店なのか解明していこう。

酒好きが集う!長時間いても居心地の良いカウンター席

店内
当時の古民家の面影を大事にしたいと、内装にはいっさい手をつけず、カウンター席だけを増設した内観。座敷には手作りの木のテーブルが並び、壁にはオーナーの実績の証となる賞状がさり気なく飾られている。
カウンター席
プロの建築士に依頼すると洗練されすぎてしまうからと、大工の知人に協力してもらって手作りしたカウンター席。古民家の古めかしい味わいを保ちつつ、カウンターの高さや厚みを緻密に計算しながら、椅子には低反発シートを仕込んだ裏ワザが隠されている。

「カウンター席は、長時間座っていても居心地良くお酒が飲める席にしたかったんですよね。酒好きが集う席ですからカウンター席って。笑」
ボックス席
このチェアとテーブルと囲炉裏は当時のまま。その証拠に大家さんの名前「ヤカブ」との文字が刻まれている。なぜ刻んでしまったのかは、確認し忘れてしまった。

希少種の黒琉豚アグー! しゃぶしゃぶせっとの注文は2名以上から

アグー豚のしゃぶしゃぶ
一般的な「しゃぶしゃぶ」といえば牛肉だが、この店では「黒琉豚アグーのしゃぶしゃぶ」が食べられる。

純血のアグーとアグーを交配して生まれた「黒琉豚アグー」は、宮城さん家族が2世代で経営しながら名護市内で飼育している希少種の県産豚。農場の規模的にも大量生産できないため希少価値が高く、県内で「黒琉豚アグー」を取り扱う飲食店はほんのひと握りである。
「黒琉豚アグー 極しゃぶしゃぶせっと」
生産量が少ないため、毎日数量限定で提供しているこの店の2大看板鍋のひとつ「黒琉豚アグー 極しゃぶしゃぶせっと」。鍋のメインである「黒琉豚アグー」は、肩ロース肉・バラ肉・もも肉の三種盛り。
やんばる産の食材を使ったメニュー
当日朝採りされた山原(やんばる)若鶏で作る「山原若鶏自家製竹筒つくね」や「島豚アグーの水ギョウザ」はなかなか値が張る食材で、「やんばるハルサープロジェクト」に参加している沖縄本島北部の農家から仕入れた野菜など、主にやんばる(北部)産の食材を使ったメニュー構成になっている。
しゃぶしゃぶ
黒琉豚アグーのしゃぶしゃぶを食べるコツは、肉をしゃぶしゃぶする回数らしい。黒琉豚アグーを鍋に入れる。

しゃぶ、しゃぶ、しゃぶ、しゃぶ…はい、お湯から上げる!

松下さんいわく「1枚1枚のお肉を大切に、しゃぶしゃぶする回数は3〜4回で十分」とのこと。
「我部祖河そば(沖縄そば)」
最後は「我部祖河そば(沖縄そば)」を投入する。名護市内に本店がある「我部祖河そば」の麺は店舗以外では食べられず、これまた貴重なしゃぶしゃぶ用の沖縄そばなのである。鍋のお湯は、豚肉やつくねや野菜から出たダシが加わり、特に味付けせずそのままでも食べられる。
柔らかいお肉
これだけ贅沢な食材を用意しておきながら「この店に高級感は不要」と話す松下さん。

家庭の味にひと手間加えることでオリジナリティを出していく。そこにプロの技術は必要なく、だからこの店に一流のコックはいらないと。お客様がリラックスしながら楽しめてこその古民家ダイニングであり、新しい味に出会えるひと時を演出してくれるのだろう。

ソムリエの資格を持つバーテンダー「まっちゃん」の奮闘

お客様の来店時、「いらっしゃいませ」との声がけをタブーにしているこの店。「いらっしゃいませ」だとお客様との会話が成立しないため、そこで声がけするのが「こんばんわ」。自然とお客様から「こんばんわ」との声が返ってくるので来店時からコミュニケーションが始まることになる。
グラス色々
カウンターの棚には、厚みが薄く口当たりの良いグラスが数種類。同じお酒をおかわりしても2回目は違うグラスで提供すると、また異なった感覚でお酒を楽しめるのではないか。そんなさり気ないサービスができるのは小回りが効く店ならではの特権。

そしてバーテンダーが営業するこの店にはなぜかカクテルのメニュー表がない。お客様のリクエストや日ごとに用意した沖縄の果物を融合してカクテルをアレンジする。
サーバーから生ビールを注ぐ
例えば、カクテルに使うレモンひとつとっても季節や産地で酸味が違う。シロップや炭酸の量はもちろん、使う氷や道具など、そこにさらに人の手が加わって繊細に変化するカクテルの味。

「作り手によって、当然味は変化するから良い意味で同じ味のカクテルは二度と作れません。だからその日、その時で一番いい状態の手順と配合でカクテルを作る。これはバーテンダーの本能的な直感です。何でも作りますよ!笑」と。そして松下さんはこう続けた。
オリジナル料理
「私のバーテンダー経験を最大限に膨らませて考案したオリジナルの料理とお酒のメニュー。そこにおしゃべりな僕の会話を乗せて夜の古民家で楽しい時間を過ごしていただくこと。これがこの店の強みです。そして数ある飲食店の中からこの店を選んで来てくれる。こんなうれしい出会いってないですよね。この店だけの料理やお酒に出会い、今この時間の会話を楽しんでもらえたら。泥臭い精神で自分自身も楽しみながら営業しています」

滑舌よく熱く語り尽くしてくれた松下豊さん。それは明るい性格と熱いこころざしが成せるワザ、そんな必殺「弾丸トーク」だった。
注文ベルの子豚さん
「ご注文の際は、各席に置いてあるこの豚さんを鳴らしてくださいね」

スマートポイント

  • この店の2大看板鍋のもうひとつは「県産和牛モツ鍋」。2人前から注文できます。
  • 究極に軟らかい「メガグリル ネックベーコン(数量限定)」など独創的な一品料理が豊富。鍋を食べずともお一人様でも気軽にお酒を飲めます。
  • 人との出会いと繋がりを大切に。そんな思いでやんばるの作家が制作した雑貨や小物を飾り、商品紹介を兼ねている店内装飾。なんとも粋な計らいです。

ライターのおすすめ

ドラフトビールにも力を注ぎ、樽生の管理からビールサーバーの洗浄、時間をかけた注ぎ方まで松の古民家流。丁寧に注いだドラフトビールの一番おいしいタイミングは、最初のひと口めだなんそう。

miya-nee(みやねえ)

JTBの元ツアーコンダクター。現在はライターをはじめとして、Web講師、カメラマンなどと多岐にわたる仕事に取組む。

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