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グルメグルメ

2015.03.22

沖縄の母、悦ちゃんと地元
の人と飲み語らう桜坂の夜

writer : 福田展也

※※悦ちゃんは閉店しました※※

国際通りを県庁前から安里方面に向かうと、ほぼ中央付近の右側に、
市場通り、むつみ橋通り、平和通りといった昔ながらの商店街が
連なっている。その先を右に折れて壺屋方面に歩くと、
左手に見えるのが桜坂社交街だ。この場所は戦後那覇市内で
もっとも栄えた繁華街で、一時は数百件ともいわれる飲み屋や
キャバレーがひしめいていたそうだ。お店の数こそ比べ物にならないが、
当時の面影が今も残るこの界隈は、地元の人々に変わらず親しまれている。

ドアに鍵がかけられた店

外観_02
桜坂社交街の入り口に立つと悦ちゃんと書かれた緑色の
小さなサインが目にとまる。ガラス張りのドアを開けようと
ノブをひねったが鍵がかかっていた。店内には楽しげに
グラスを手にしている数名の男女。おかしいなぁと思ってノックをすると、
暖簾越しに悦ちゃんが顔をのぞかせた。「いらっしゃい」という声に
ホッとして中に入ると、カウンターに8席、奥に8人が座れるくらいの
座敷席があった。

いちゃりばちょーでー

並ぶ泡盛
オープンして30年以上経つこの店を先代から引き継いで
18年になるという現役の悦ちゃんに人気の理由を尋ねてみた。
「心がけているのは家庭的な雰囲気だねえ」
客層も20代から70代、地元客から観光客と幅広い。一人で来る人もいれば、
グループで来る人もいる。初めての人同士でも文字通りの
「いちゃりばちょーでー(出会ってしまえば兄弟と同じ)」
で楽しめるようにと、一つの話題をみんなでシェアできるように
気を配るのが悦ちゃんの役割なのだ。

ドアに鍵をかける理由

お店入り口
お客さんを一人にしないことをいつも心がけているとあって、
隣同士で話も弾むし、お客同士で酒をおごり合ったりということも
珍しくない。中には、ここで知り合って友だちになったり、
結婚する人もいるという。悦ちゃんが入り口に鍵をかけるのも、
用心のためだけではない。たまたま居合わせただけの他人同士が
家族同様に和気あいあいと楽しい時間を過ごせるように、
深酔いしている人、悪酔いしている人を入れないようにとの
配慮からでもあるのだそうだ。

沖縄のおでんはおでんではない?

料理
しばらくすると自慢のおでんがやってきた。おでん汁は茶色だが、
食べてみると、あっさりしている。聞けば味付けは塩中心だとのこと。
長年継ぎ足し継ぎ足ししてきたせいで、醤油のような茶色になったようだ。
大根は柔らかいのにしっかりしているし、てびちはトロトロと、
いい具合の柔らかさに仕上がっている。

店主と客の自然な会話

楽しく話すお客さん
隣に座るカップルにどこから来たのか尋ねてみたら、
神奈川からサーフィンを楽しみにきたという。
なんでここにきたのか聞いてみると、
「沖縄でおでんというのが意外な組み合わせだったし、
地元のお客さんとも触れ合いたかったから」と答えてくれた。
照明
「ねえ見てみて。あの蛍光灯、赤いストライプがすごく可愛い」
女性の声に上を見上げると、なるほど蛍光管に赤いビニルテープが
巻いてあった。
「交換したら明かりが強すぎてね。だから巻いた」と悦ちゃん。
「明るすぎるとまずいことでもあるの」とお客さん。
「この歳だとね、まずいことの一つも欲しいけど、何もないよ」
と悦ちゃん。このようなやり取りが毎日自然に取り交わされているようだ。

沖縄の母

お店の人
「沖縄に来ると悦ちゃんに会えるから」
「悦ちゃんに会うとほっとする。自分の家に帰ってきた気がする」
レトロで昭和的な空気感が年配の方には懐かしさを、
若い世代には新鮮さを提供してくれるのだろう。
親しい友人や家族には話せないような悩みごとも悦ちゃんになら話せると、
相談を持ちかけられることも少なくないそうだ。
「たいしたことをしてやれるわけではないんだけどね。
自分のことは見えなくても他人のことはよく見える
ってだけじゃないかしらね。
でも、喜んでもらえると仕事冥利につきるわー」
悦ちゃんは嬉しそうに顔をほころばせた。
お店の人02
昔は口コミでお客さんが増えていったが、いまはネットでの情報を経由して
新しいお客さんがやってくる。女性一人で不安はないか聞いてみたら
あっさりした答えが返ってきた。
「お客さんに恵まれているのよ。いい人しか来ないわね」
外観_01

福田展也

目下の趣味はサーフィン・沖縄伝統空手・養蜂。心で触れて身体で書けるようになることが10年後の目標。

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