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観光観光

2017.04.18

[久米島]伝統工芸を身近に
久米島紬の里ユイマール館

writer : 糸数麻美

沖縄本島から西に約100㎞の位置にあり、島全体が県立自然公園に指定されている久米島。その豊かな自然の力を借りた、島自慢の伝統工芸があります。
久米島は、日本の中で、紬文化の発祥の地といわれています。紬とは、蚕の作り出すまゆからできる糸で織られた織物のことです。国の重要無形文化財指定である久米島紬の歴史や展示・織り染めが体験できる久米島紬の里ユイマール館は、久米島の中でも、天候に左右されないオススメの観光スポットです。
久米島紬の里ユイマール館

伝統の技が光る久米島紬

15世紀後半に中国から養蚕産業が広がり、そこから発展したという久米島紬。琉球王朝時代は、王府に納める「貢納付」(こうのうふ)として、紬の織物を税金として納めていました。紬の織物のお陰で、米の税金は軽減されたのですが、15歳~45歳までのすべての女性には、この税が課せられていたという、重い負担の税金だったそうです。琉球王国がほろんでも、織物を納める制度は残ったまま、1903年まで続いたそうです。紬の織り方が悪かったり、紬の量が不足した時は、役人にムチや棒で打たれ泣きながら織っていた、という話もあるそうです。一般庶民には手が出なかった久米島紬。昔の久米島人は、久米島紬ではなく、沖縄や奄美の伝統織物・芭蕉布(ばしょうふ)を身にまとっていたそうです。そんな、琉球王朝時代からの伝統を引き継ぎ、今でも、ひとりの織子が、糸作りから図案・染め・織りなどを一貫して製作しているそうです。そんな歴史や作業工程を学べるのが、ユイマール館に常設している展示資料館。コンパクトな空間に、3カ月ごとに変わる企画展示を始め、絹糸や染料の種類などが展示されています。
久米島紬の着物
絹糸
糸をつむぐ機械
こちらは、糸を紬(つむ)ぐ機械だそうです。
糸をつむぐ道具
いったいどんな風に糸を作っていくのでしょう。今回、タイミングよく、織子さんが、まわたから糸を紬いでいる作業に遭遇しました。まゆをアルカリ液で煮て柔らかくし、ほぐして中のサナギを取り除き、まゆを伸ばし、重ねると、こんな風に真っ白なフワフワのまわたができるそうです。
フワフワのまわた
糸作り
織子さんの手でこのまわたが丁寧に紬がれていきます。糸作りから、気が遠くなりそうな、根気のいる作業を、黙々とひとりで進めていきます。琉球王朝時代のまゆの色は現代と異なり、久米島で飼育されていた蚕のまゆは、黄金色だったそうです。
黄金色のまゆ(琉球多蚕繭)
歴史とともに薄れていく久米島古来の黄金色のまゆ(琉球多蚕繭)を後世に残すため、現在、養蚕にも着手し、糸を取っているそうです。
「久米島紬の着物を一着作るには、蚕が700頭も必要なんですよ」と、織子さん。
伝統を受け継ぎ、時間をかけ製作される久米島紬は、現代でも貴重で、とても高価な織物です。
そんな価値のある久米島紬の着物を着てみたくはないですか?
ユイマール館では、女性用や男性用、振袖一式・ウエディングドレスを有料でレンタルしているそうです。紬の里久米島で、伝統工芸を身にまとい、優雅な装いで島観光も夢ではありません。
久米島紬の着物

伝統の技を間近で体験

ユイマール館では、コースター織り体験と、久米島で自生している草木で染めるストールやバンダナの染め体験を行っています。
体験施設では、織子さん達が実際に作業している場面も見られ、とてもアットホームで温かい雰囲気。織り体験では、サンプルの中から自分の好きな図案が選べます。所要時間も30分ほど。織子さんがサポートしてくれるので、初心者でもすぐに作ることができます。
織り機
染め体験
織る作業では足も同時に使うので、背の低い小さな子どもには少し難しそうですが、子どもにオススメなのが染め体験です。私の娘も幼稚園の時に、バンダナの染め体験をしたことがあります。その後このバンダナは、幼稚園のお弁当包みとなり、大活躍していました。
染め体験で染めたバンダナ
また、自分へのお土産に、大きいストールを染める観光客も多いそうです。草木によって、染める色もがらりと変わるので、その日の気分に合わせて選べます。
ストール
織り体験と染め体験を合わせたコースもあり、天候に左右されやすい久米島ですが、ユイマール館なら、雨天でも楽しく時間を過ごせると思います。

B反品も見逃せない

ユイマール館の売店で販売されている商品は、作業工程で出るわずかなズレや染ムラなどで、販売できない、いわゆるB反品と呼ばれるものを加工し、低価格で販売しています。
こちらで観光客に人気のお土産は、久米島紬とレザーを組み合わせた男前な小物類だそうです。
久米島紬とレザーを組み合わせた小物類
沖縄の冠婚葬祭の定番かりゆしウエアなどは、島人にも、大変好まれています。

歩いて探す紬の里

ユイマール館のある真謝(まじゃ)地区は、織子さんも多く住んでいる集落です。少し歩けば、「カタンカタン」と織り機の音がどこからともなく聞こえ、織っている場面にも遭遇することも。
織子さん
見どころスポットも多く、ガイドと共に歩く集落散歩もあるので、島人気分で、ユイマール館周辺を散策してみるのもおもしろいですよ。

スマートポイント

  • 売店のみを利用したい場合は、入館料は不要です。
  • 織り染め体験は要予約。体験できる時間は、9時~11時30分、13時~16時30分。当日予約でも空きがあれば、体験できます。
  • 有料で久米島紬のレンタルもしていますが、毎年12月に行われる町の産業まつりでは、久米島紬の着付けが無料で体験できます。

ライターのおすすめ

伝統の久米島紬を手軽な値段で購入できるユイマール館。母の日や父の日などイベントの前には、プレゼントを選びに、島人も多く足を運んでいます。小物類の数も多いので、お気に入りのアイテムが見つかるかもしれませんよ。

糸数麻美

東京出身。元旅行代理店カウンター勤務。島で唯一のベビーシッターが、魅力いっぱいの久米島をご案内します。

INFORMATION最新情報は、各施設の公式ウェブサイト等でご確認ください。

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