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観光観光

2017.04.06

沖縄初、農福連携マルシェ
新たな可能性へのキックオフ!

writer : 松村葉子

農福連携マルシェ
農業の人手不足と、福祉現場の低賃金問題。日本が抱える二つの課題を一石二鳥で解決できる可能性を秘めた農福連携という取り組み。国内では浸透しながらも、沖縄ではまだまだという現状の中農福連携にいち早く取り組む農家や作業所が出店し県内初、「農福連携マルシェ」が開催された。
同時開催のシンポジウムには、県外からの有識者が集い聴衆を交えての貴重な意見交換となった。

活気溢れるマルシェ。沖縄農業の可能性

色とりどりの野菜
様々な商品
色とりどりの野菜、パッケージの洗練された農産加工物。眺めながら歩いていると販売員さんが声をかけてくれた。差し出された生のコーンをひとかじりしてその甘さに驚く。イオンモール沖縄ライカム内カフェ隣のデッキは活気に溢れていた。この日農福連携に取り組む六つの事業所が出店し農産物を販売。県内初となる、農福連携マルシェが開催された。
野菜
トマト
マルシェを主催するのは、障がい福祉サービス事業を運営する合同会社ソルファコミュニティ。那覇から車で30分ほど北上した自然豊かな北中城村にて、耕作放棄地を利用し無農薬、無肥料、無除草剤の自然栽培で、村内に4カ所、隣の中城村に2カ所、計6千坪の敷地での農業を展開している。
沢山の商品
スタッフの方々
沖縄の野菜といえばゴーヤー(苦瓜)やナーベラー(ヘチマ)を思い浮かべる方もいるだろう。それだけではない。ハンダマー、チキナー、ンスナバーといった本土では馴染みのない葉野菜が、濃い緑色を誇らしげにスーパーには並び、時期になると島バナナやパパイヤといった色彩豊かな亜熱帯フルーツがそろう。
沖縄の農業は、台風や強い日差しといった地域特有の悪条件を抱えながらも、日本の農業という位置付けにおいてユニークな可能性に満ちている。

タッグを組んで、沖縄の農福連携がスタート!

会場内
シンポジウムが開催されるカフェにはたくさんの聴衆が集い、人々の関心の高さをうかがわせた。先着50名には農福関連事業所で採れた新鮮野菜詰め合わせのプレゼントもあってうれしい限り。
握手の様子
シンポジウムオープニングでは、北中城村長(写真左)、元サッカー日本代表選手で現在沖縄SV(エス・ファウ)代表を務める高原直泰(なおひろ)さん(写真右)、そしてソルファコミュニティ代表玉城卓さん(写真中央)がこぶしを合わせた。「沖縄の農福連携は、ここからが本当のスタートです」
玉城さん
玉城さんは事業を展開するにあたり、北中城村へ農地の相談を持ちかけた。村は耕作放棄地の有効活用を検討する中で、農福関連という取り組みに強く共感。貸し手と借り手双方に有益となる、マッチング作業の重要性を強調した。
高原さん
高原さんは選手を引き連れて農作業へ積極的に参加、昨年は20年間放置されていた土地400坪を切り開いた「チームとしてただサッカーをするのではなく、選手や子ども達にいろいろな経験をしてほしい」

困っている人もそうでない人も。農業で繋がる“地域共生”

森正剛さん
一般社団法人日本基金ノウフクプロジェクトリーダー林正剛さんの進行により、各有識者の話へ。農業に携わる“人口減少”と平均年齢65歳以下という“高齢化”、また障がい者就労支援の現場における“低賃金”といった国が抱える問題を、一石二鳥で解決するのが農福連携だという共通認識のもと、さらなる深い話が展開される。
演説
厚生労働省の服部剛さんは、障がい者だけでなく、認知症の高齢者や子ども達も含めて地域がつながっていく“地域共生”の可能性を提示。
濱田健司さん
一般社団法人JA共済総合研究所主任研究員の濱田健司さんは、農作業のリハビリ的な効用も示唆し、沖縄の生活困窮者やシングルマザーも含め地域で困っている人たちを農業と結びつけていく提案をした。「農には福祉力があります。農を通して、彼らの良さを引き出すのです」。
濱田さんが10年前に農福連携をうたった際、「障がい者に農業なんてできないよ」という意見が主流だったという。そういった困難の要するスタートから、年月をかけて人々の心を捉え、時の流れに乗り、実を結びつつある。
話し合いの様子
また、さまざまなパイプやハブ機能を備えた“農福商工連携”という発展を提示。福祉現場では自分たちで全部やろうとしてしまう形が多いのだという。今回の場所提供のように、今後大手が販売経路として関わってくれることは、大きな力だ。

沖縄の在来種と、地域力の復活

佐伯さん
株式会社パーソナルアシスタント青空代表の佐伯康人さんは、沖縄の在来種が絶滅しつつある事実を指摘した。織物の染料に使う植物など、琉球の文化には土地の作物が深く関わっている。「みんなで、沖縄の作物の力を、復活させていきましょう」。

佐伯さんは、愛媛を拠点に今までに耕作放棄地を3万坪開拓、障がい者と共に農業に携わって14年になる。障がい者の月給全国平均1万4千円に比べ、佐伯さんの農地では5〜6万円を達成。主催する「自然栽培パーティー」で佐伯さんに農業を教わった施設が、全国に100近く展開している。

完全無農薬の自然栽培をしていると、土地に蛍やメダカといった昔の生き物が戻ってくるのだとか。沖縄の在来種復活を掲げるのは、環境問題を含めた広い視野のもとで展開していくという姿勢だ。
佐伯さんのお話し
佐伯さんは3つ子の障がい児を育てるお父さんでもある。子育てに途方に暮れた時、地域の50人に助けてもらった。「10人いたら2人くらいはハンディを持っています。10人が交わっていけるコミュニティがあればみんなが地域で生きていける。山ほどの社会保障に頼らずに、地域力を復活させて、優しいお金の使い方をして生きましょう」
農福連携マルシェ話し合いの様子
玉城さんは「始めたいという方は、どんどん相談してください!」という。風が新たな方向へ舵をとる瞬間に立ち会った気がして、胸が高鳴った。今後も、農福連携マルシェは定期的に開催される予定。おいしい沖縄野菜がもっと手軽に手に入る日は、近いかもしれない。

スマートポイント

  • 合同会社ソルファコミュニティのHPには、お野菜のオンラインショップもあります。太陽のエネルギーたっぷり、沖縄野菜を試してみて。
    HP:http://solfa.biz/
  • 佐伯さんの主催する「自然栽培パーティー」HPには「どうしてこんなにワクワクするんだろう」という言葉。ワクワクをのぞいてください。
    HP:http://shizensaibai-party.com/
  • 全国の農福連携に関する情報がHP「ノウフク」にて確認できます。
    HP:http://noufuku.jp/

ライターのおすすめ

三つ子の障がい児を育てる佐伯さんのインタビュー記事「社会をたのしくする障害者メディア コトノネ」HPにて公開。
記事:http://info.felissimo.co.jp/ccpblog/docs/kotonone10_p28_35%E8%BE%B2%E7%A6%8F1.pdf

松村葉子

15年住んでいますが、沖縄はいつも深く濃ゆ〜く目の前に…。背伸びせず、面白いと思ったものを、ご紹介していきます。

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