芳醇な味わいにうっとり
松の實の手打ち蕎麦

落ち着いた空間で味わうのど越しのよい手打ち蕎麦

大通公園の南、市電の西８丁目電停そば。ビルの１階に静かに暖簾を掲げているのが、蕎麦屋の松の實です。店内へ入るとまずは石臼がお出迎え。さらに足をすすめると、和のしつらえの落ち着いた空間が広がります。



ここで味わえるのは、打ちたての蕎麦。自然豊かな道南の黒松内（くろまつない）町にある契約農家から直接仕入れた素材を使用し、店主の城市宏さんが、毎朝、その日の気温・湿度に合わせてもっともよい状態に打っています。

ソバ本来のおいしさを直接味わいたいなら、やっぱりおせいろ（750円）がおすすめ。より香りの強い田舎そばのせいろもありますよ。

勢いよくたぐると、独特の甘みが口に広がり、爽やかな香りがふわりと鼻に。さらに、焼き節の本枯節でだしをとったまろやかなつゆの味が、蕎麦の風味を引き立てます。その味は、通をもトリコにするおいしさですよ。

蕎麦の味をさらに深める器やしつらえにも注目

店内はクラシック音楽が流れ、静かで落ち着いた空間です。重厚感のある一枚板のテーブルについて、お品書きをながめているだけでも、ほっと心が和んできますよ。


ところどころに生けられている季節の花や、壁に掛けられた日本画など、和のしつらえは、蕎麦をさらに味わい深くしてくれます。蕎麦猪口や湯のみなどの器にも、目を向けてみてくださいね。ちょっぴり遊び心のあるものや、料理が映えるような皿が使われていますよ。

インテリアや食器など、蕎麦をよりおいしく味わうためのシチュエーションが整えられているのです。

食べた後もほっこり。細やかな心遣いに感激！

お蕎麦を食べ終わったら、蕎麦湯もお楽しみの一つ。白濁してとろりと濃いめの蕎麦湯は、そばに合わせて辛めに作ったつゆを、まろやかに味わいやすくしてくれます。ほんのり甘みが残る後味もおいしいですよ。

さて、そろそろ食事も終了、というときに最後の心遣いが。小さな特性おまんじゅうが運ばれてきます。店名の焼印が押された、黒糖のおまんじゅうは、小ぶりながらも深い甘みがあって、一緒に出される温かい蕎麦茶との相性もばっちり。食後のひとときをほっこりと和ませてくれます。

蕎麦湯や食後のデザートが運ばれるタイミングも程よく、接客からも「お客さんに食事を楽しんでほしい」という、おもてなしの心が伝わってきますよ。

おいしい日本酒と上品な肴でほろ酔い気分

メニューは蕎麦だけではありません。お酒との相性も良い一品料理がそろい、気軽においしくお酒を楽しめる店でもあるのです。一品料理には、板ワサや焼きみそ（蕎麦みそ）などなど、蕎麦屋らしい魚のメニューが並びます。店主の城市さんは、ふぐの調理免許も取得するなど、和食の職人。その腕で作り上げる料理はどれも一級の味です。


なかでもおすすめは、玉子焼き（800円）。青じそと大根おろしが添えられた一品は、ふわりと軟らかで、やさしいだしの旨みが口のなか一杯に広がります。大根おろしの辛みがアクセントになって、思わずもう一口！　と箸が進みますよ。

肴に合わせて、こだわりのお酒も。北海道の地酒に加え、厳選した日本酒がそろいます。旅先だからこそできる、昼から蕎麦屋酒、なんていうのも粋ですね。

お蕎麦もお酒も肴も、大人な気分で楽しめる松の實。いつもより、ちょっぴりグレードの高い時間を、過ごしてみませんか？