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観光観光

2017.10.22

最果ての刑務所をリアル体験!
建築美も魅力の博物館網走監獄

writer : 藤本誠一郎

オホーツク海沿岸の街「網走」。網走と聞いてイメージするのは、流氷が押し寄せる最果ての極寒の地、そして網走刑務所!という方も多いことでしょう。有名な高倉健主演の映画「網走番外地」の舞台となった網走市には、現存する刑務所とともに、監獄と呼ばれていた時代から続く刑務所の貴重な建造物を移築復原した「博物館網走監獄」があります。
網走監獄外観

提供写真:博物館網走監獄

ここは数多くの重要文化財や登録文化財に指定された明治・大正時代の建造物が見られる、東京ドーム約3.5個分の広さを誇る世界的にも珍しい野外監獄博物館なのです。網走の美しい自然のなか、昔の刑務所をリアル体験しながら歴史も学べる博物館網走監獄へ行ってみませんか。

囚人の心境を想いながら鏡橋を渡り監獄のなかへ

博物館網走監獄は、JR網走駅から約4キロ、車で10分ほどの網走国定公園の名勝天都山の麓、オホーツクの雄大な森のなかにあります。網走駅や女満別空港から路線バスで「天都山入口」下車、徒歩10分。網走駅から観光施設めぐりバスに乗車すれば博物館前までアクセスできます。
網走監獄入口
博物館へのアプローチは、網走川に見立てた池にかかる「鏡橋」を渡っていきます。鏡橋には「川面は鏡。我が身を見つめ、自ら襟を正し目的の岸にわたるべし」という意味が込められています。この池には夏になると睡蓮の花が咲き、美しくも独特の雰囲気。
美しい睡蓮の花
入り口から広がる花咲く庭園の正面にまず見えてくるのは、赤レンガが印象的な網走監獄の正門。独特の形をしたこの正門は、現在の網走刑務所と同じ形なんです。
監獄の正門
一度入るとただでは出てこられなくなるような、威圧感漂う頑丈で堂々たる佇まい。脇には看守(人形)が立っていて、思わず背筋がピンとなります。

美しい森と庭園のなかに点在する貴重な重要文化財の数々

正門の先にあるのは、旧網走監獄「庁舎」。明治期の官庁建築の典型的なスタイルで、ブルーとグレーに彩色された外壁、寄棟瓦葺き(よせむねかわらぶき)の屋根、飾り窓など明治時代のレトロな雰囲気がなんとも素敵。
レトロな雰囲気の庁舎
庁舎内部では、網走監獄ライブラリーをはじめ、囚人道路などの北海道開拓の歴史がわかりやすく展示、紹介されています。園内を巡る前に見どころをチェックできますよ!
網走監獄ライブラリー
北海道では珍しい鬼瓦のお寺のような外観が目を引く「教誨堂(きょうかいどう)」。ここは受刑者に精神的、倫理的、宗教的な指導を行った場所。内部は和風の外観とは異なり、天井に施されたレリーフなど明治期の洋風建築デザインが印象的。
教誨堂外観
網走監獄は農園刑務所とも言われ、丘陵地の広い農場とともに自給自足の先導的施設として建てられたのが「二見ヶ岡刑務支所」。ここでは囚人たちの食事風景や作業のようすを垣間見ることができます。あちこちに表情豊かな囚人や看守の蝋人形が登場するのでちょっとビックリ!二見ヶ岡刑務支所内部

100年の歴史を刻む恐怖の空間!旧網走監獄舎房

いよいよ網走監獄最大の見どころ「旧網走監獄舎房」へ!1912年(明治45)年建造、1985年に移築されたこの建物は、その前年まで実際に網走刑務所の獄舎として72年間使われてきたもの。100年以上の歴史を刻んできた暗くて重々しいゾクッとする空気に包まれ、監獄へ来た実感が湧いてくるでしょう。
旧網走監獄舎房
木造行刑建築物としては世界最古で最大の規模! ベルギーのルーヴァン監獄を模倣して造られた放射状に広がる5棟の舎房が特徴で、高い天窓からそそぐ光や重厚な木の質感も印象的。入口には五つの舎房全体が見渡せるように6角形の中央見張所が。なかへ入ると納得! 看守の気分を味わえます。
監獄舎房内部
薄暗い舎房では、ところどころ現れる囚人の蝋人形にウワッと驚きの声も!さらに天井付近にも半裸の男が! 昭和の脱獄王と呼ばれた「白鳥由栄(しらとりよしえ)」です。日本一脱獄が難しいと言われた網走刑務所で、彼は手錠と監視口に、来る日も来る日も味噌汁を吹きかけ続け、味噌汁に含まれる塩分で鉄を錆びさせて脱獄したのです! そう、ここはそんな脱獄伝説の獄舎だったのです。
 昭和の脱獄王「白鳥由栄(しらとりよしえ)」の蝋人形

蝋人形の演出にドキッ! 悲しい開拓の歴史も学ぼう

刺青(いれずみ)も生々しい囚人の入浴シーンが見られる「浴場」。看守監視のなか15分の短い時間でも、囚人にとって一番の楽しみだったそう。また、大正・昭和の看守家族の生活の様子を再現した「看守長屋」や、裁判所の様子がよくわかる「釧路地方裁判所網走支部法廷復原棟」など、見応えのある施設が目白押しです!
囚人の一番の楽しみ「浴場」
北海道開拓の歴史のなかで重要な役割を果たした中央道路は、別名囚人道路と言われ、開削には囚人が使われました。逃走防止のため2人1組で繋いだ連鎖や足に重りをつけられたまま極寒のなか過酷な作業させられ、多くの犠牲者が出た悲しい歴史があったのです。その開削時に使われた「休泊所」では、ゴロゴロ寝ている囚人の蝋人形の表情がリアルで、当時の過酷さまで伝わってきます。
休泊所
監獄歴史館では、そんな監獄の歴史や囚人の暮らし、作業などに関わる貴重な資料が展示されています。なかでも中央道路開削シーンを再現した臨場感溢れるシアターは必見!また囚人服を着て囚人人形と護送シーンを記念撮影できるコーナーや、網走監獄入獄写真が撮れるちょっと変わったプリクラなども人気ですよ!
監獄歴史館で護送シーンを記念撮影

監獄食も味わえる! 監獄食堂と庁舎のステキな喫茶コーナー

広〜い博物館網走監獄でたっぷり驚いたり学んだりした後は、「監獄食堂」でランチはいかが? 大きな窓のある吹き抜けの快適な空間、テラス席もあります。ここの名物は現在の網走刑務所の昼食を実体験できる、その名も「監獄食」。
「監獄食堂」でランチ
「監獄食」は、栄養バランスにも優れた美味しい健康食。メインの魚はサンマかホッケが選べます。さらに酪農刑務作業で育てられたブランド牛「網走監獄和牛」のメンチカツやコロッケ、網走のB級グルメ「ザンギ丼」など、ご当地グルメも。
栄養バランス優れた美味しい「監獄食」
散策中に軽くお茶したいときには、庁舎内に軽食喫茶コーナーへどうぞ。重要文化財の素敵なお部屋で、手軽にコーヒーやご当地スイーツも楽しめますよ。併設の直営ミュージアムショップでは、監獄ならではのユニークなデザインのTシャツや、刑務所作業製品もゲットできるので、ぜひ立ち寄ってみて!
庁舎内の軽食喫茶コーナー
刑務所作業製品
監獄、刑務所と聞くと、暗くて怖いイメージですが、ここはそれだけではなく、北海道の行刑の歴史を学び、貴重な歴史的建造物にも触れられるユニークな博物館なのです。さあ、網走ならではの観光スポット、博物館網走監獄へ行ってみませんか。

スマートポイント

  • 初めて訪れた方は無料ガイドツアーに参加してみては。予約も不要でだれでも参加できます。博物館の解説員が約50分で博物館内の主な見どころをナビゲートしてくれますよ!
  • 網走市内からのアクセスは、博物館網走監獄前まで行く観光施設めぐりバスの1dayパスがお得でオススメ! 1日乗り放題で、現在の網走刑務所をはじめ、流氷館、北方民族博物館、モヨロ貝塚館など、網走市内の観光施設も効率よく回れますよ!
  • 網走監獄博物館の公式サイトはイラストマップなどもあり、とても見やすく見応えもあります。各施設の見どころなどお出かけの前にチェックしておくと広い博物館をスムーズに楽しめます。サイトには割引券などお得な情報も!

ライターのおすすめ

網走市へ行ったら、博物館から車で10分ほどの網走川のほとりにある現役の網走刑務所へもぜひ訪れてみて! 正門前までは見学できますよ。正門横の売店では現在の収容者が作った作業製品などを販売。博物館とは違う掘り出し物が見つかるかも!

藤本誠一郎

網走在住のグラフィックデザイナー。道東オホーツクから、とっておきの観光スポット情報をお届けいたします!

INFORMATION最新情報は、各施設の公式ウェブサイト等でご確認ください。

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