読谷村で「おとなりや」を開店したキッカケ
ご主人の齊藤隆之さんは大阪出身の沖縄育ち。高校生のころ、沖縄の恩納村に家族で移住し、読谷高校に通っていた齊藤さんにとって読谷村は懐かしの地元です。ある時、ふと日本中を旅してみようと一人旅に出発。その途中、北海道が気に入って住みつき、ここだ!と思う北海道のパン屋を渡り歩きながら修行を積んだそうです。そんな時北海道出身の奥様と出会ったんだそうです。
「自分でパン屋をやりたい、ならば地元の読谷村でお店を持ちたい」そう思いながら26歳の時、ご家族で読谷村へと引っ越します。パン屋の店舗探しは、割とすぐに決まったと話す齊藤さん。現在の店舗にインスピレーションを感じ、2008年12月「おとなりや」をオープンさせました。
ベーカリーでありながら、木のオブジェにベーグルを飾って販売する遊び心のある店内。店内でかけている音楽は「今日の音」としてポップで紹介しています。
「おとなりや」の焼き印を押したパンを乗せるトレイは、すべて手作り。知り合いと一緒に制作したそうです。
そして、一度に来店客が3名ほど訪れると店内は満員状態。限られたスペースには70種類ほどのパンが並び、
1種類につき2〜5個のパンが置かれています。
パンの原材料にこだわる理由、それは素朴な思いからだった
レーズンとイチジクを使った自家製の天然酵母、小麦粉は北海道・九州・沖縄のオーガニック小麦、北海道産バターやエキストラバージンオイルなど体を気遣う原材料が多く、そのこだわりの理由を伺うと、それは齊藤さんの身近で起きていたできごとへの思いが根底にあったのです。
「実はこだわりというほど厳密なものではなくて、自分の子どもがアレルギー持ちで乳製品・卵・小麦粉がダメだったんですね。それがキッカケで方向性というか原材料に対する考え方がガラリと変わったんです」
それ以来、原材料や食材に気を使うようになり、現在使用している原材料は「おとなりや」のオープン時から変えてないそうです。
「選択の自由ってとても大切だなと思っていて。パンのレパートリーにしても幅広いと色んな選び方ができると思うんです。多くのパン屋が存在する中で『おとなりや』のパンを選んでもらえたり、このパンが好き!とリピートしてもらえたり。選択の自由があるからこそ、選んでもらえた時はやっぱりうれしいですよね。笑」
「おとなりや」のパンを一気に紹介します!
まずは、この店の人気TOP3のパンをご紹介します。
3位:ハード系の全粒粉パン。
定番の人気を保つハード系のパン。全粒粉パンやライ麦パンなど、10種類ほどあります。
2位:フォカッチャ
具材は日によって変わることがあり、トマトソースやホワイトソースなどをベースに数種類のフォカッチャがあります。
1位:琉球松
食パンの生地で作った黒糖味のフレンチトースト。表面をカリッと焼き、中はフレンチトースト並のしっとり感。その中にカシュナッツが入っています。
「おとなりや」の人気の秘訣は、パンのレパートリーの多さにもあります。店内の限られたスペースに個性溢れるパンが続々と並びますが、実は1種類ごとパンの数を少なく置くことでたくさんの種類を並べています。
あらかじめパンを多めに焼くのではなく、パンが購入されてスペースが空いてくると同じパンや新しいパンを作って焼いていきます。スペースが空いたらパンを作る、スペースが空きそうになったらパンを作る、この繰り返し。そんな齊藤さんのパン作りの動きがまったく止まらず、その途中で接客やお会計の対応までしながら、とてつもないバイタリティを感じました。
「お客様のニーズに合わせてパンのレパートリーに変化を持たせて、その時々で手に入る地元の食材をヒントにパンのメニューを考案していきたい」
そう話す齊藤さんは、地元の食材を上手く活用しながら新たなパンを生み出す異端児。定番の人気メニュー以外はレパートリーが変わることがあり、違う食材を使った違う味が楽しめます。
読谷村でパン好きのグルメ派を唸らせる「おとなりや」は、エネルギッシュに動き回る齊藤隆之さんがパンを焼き、ご夫婦で営業している素朴なこだわりを持つベーカリーです。そして店内では、満腹シーサーが出迎えてくれます。
※こちらは、2015年12月11日公開の記事となります。更新日はページ上部にてご確認いただけます。
※記事中の写真、価格は取材当時のものとなります。