沖縄本島北部、本部半島の北西9kmにある伊江島は、
“タッチュー”の名で親しまれる城山がシンボルの離島です。
初夏に咲き誇るユリの群生や、豊富なダイビングスポットも有名です。
この島で、人気No.1ビーチといえば、しっかりと管理された
『伊江ビーチ』が筆頭に上がるでしょう。
しかし、ガイドブックにもあまり出ていない、
手付かずの美しい白浜があるのを、ご存知でしょうか?
観光
2015.06.20
離島ならではの静粛…
人影もまばらな秘密の海岸
writer : 小川研
本当は教えたくない秘密の浜辺…
伊江島港の西側へ車で数分。島の南岸およそ100mに渡って広がる、
通称『GIビーチ』は、今日、沖縄本島ではあまりお目にかかれなくなった
天然のロングビーチです。看板はもちろん、駐車場やシャワー、
売店といった人工物は、一切ありません。きめ細かいサラサラの白砂と、
水辺の小さな生物達を育むイノー(沖縄の方言で、サンゴ礁に囲まれた
浅い海。礁池)が、ただただ静かに広がっています。初夏とはいえ、
浅瀬で地元の漁師が数人、素潜り漁をしているくらいで、人影もまばら…。
素朴という言葉がぴったりな、離島ならではの時が、流れています。
はっきりとした入口があるわけでもないのですが、
海岸沿いの小さな道を進むと、いくつか降りていける場所が見つかります。
お隣のパワースポットもチェック
GIビーチに来たら、せっかくなので 、浜の西側に隣接する名所
『ニャティヤ洞』も訪れてみましょう。かつて、漂流民が暮らした洞窟は、
パワースポットとしても知られる聖域で、戦時中には多くの島民の
防空壕として利用され、その広さから別名「千人洞(せんにんかま)」
とも呼ばれています。洞内には、持ち上げると子宝に恵まれるという
「力石(ビジルいし)」の他、地元の人々が拝み祈りを捧げる拝所が、
いくつかあります。厳かな雰囲気に、心が洗われるような気になります。
洞窟の先には、GIビーチ同様の、美ら海が煌々と広がっており、
内側との刺激的なコントラストを堪能できます。
その名に隠された哀しい歴史…
ところで、GIビーチという名称は、かつては島に駐留する
米軍の専用ビーチだったことに由来しています。
戦時中は「レッドビーチ」と呼ばれていたとも。
こうした珍しい名称のビーチがある伊江島は、先の大戦から、
今日に至るまで、米軍とは切っても切れない関係があります。
戦時中、この島は特に戦闘が激しく4,700人が戦死し、
島民の約半数が戦闘や集団自決で亡くなりました。
島を巡ると、戦争廃墟として残存する公益質屋、
鍾乳洞の避難壕、米軍側の慰霊碑といった戦争の爪あとが残されています。
また、島の中央には定期便の運航されていない伊江島空港があり、
その西隣にある旧日本軍による2,100mの滑走路は、
米軍の補助飛行場となっているなど、
今日なお、島の1/3ほどを米軍演習場が占めているという事実にも、
触れておきたいと思います。
泳ぐ際は細心の注意を
数km先にはこじんまりした水納島、
そのさらに向こうには沖縄本島が雄大に横たわり、
景観に起伏をもたらす静粛な浜辺…。
年間を通して穏やかであり、かつ遠浅の砂地が数百m続く水際には、
少なからずリーフも広がり満潮時にはシュノーケリングも楽しめそうです。
但し、入水はあくまでも自己責任であることお忘れなく。
人工ビーチとは異なり、監視員はもちろんおらず、
ハブクラゲ防止ネットもありません。遊泳やシュノーケリングの際は、
地元の人に、潮流やその日の波の高さなどをよく聞いた上で、
マリンブーツやライフジャケットを着用し、
かつ2人以上で行うのが基本です。
安全第一を徹底し、離島の美ら海を満喫してくださいね。
スマートポイント
- 伊江港から徒歩でも行けますが、熱中症などを避けるために、ターミナルのすぐ前にあるレンタサイクルがおすすめです。なお、周囲に売店などは無いため、飲物の持参は忘れずに。もちろんゴミは持ち帰りましょう。 http://www.tamarentapro.com
小川研
世界を歩きまくって醸成されたオンリーワンのフィルターを媒介し、沖縄情報を立体的に熱(苦し)く伝える。